特集

「設計力」のある工務店になる方法

他社と差をつける「設計力」を身につけよう

LIXILメンバーズコンテストから紐解く 「設計力」のある工務店になる方法

明日から活かせる設計の極意 「住宅デザイン教室」開催!

コロナ禍を経て「おうち時間」が増えたことで、「住まい」に求められるニーズも変わってきたように感じられます。また建築資材や職人価格の高騰により建物価格も上昇し、住宅購入層の変化も起きています。一般ユーザーは住宅購入やリフォーム工事に対して、いわゆる建物に対しての「コスパ」を求める層と「自分たちの思い描く家づくりに対しての欲求」を満たして欲しい層に2極化してきているようです。
前者は注文住宅を購入していた層が価格面で分譲住宅や規格住宅を選択するようになり、後者はより性能面だけでなく「自分たちの暮らしを快適にしてくれる住宅設計」へのこだわりが強くなっているように感じます。
Good Living 友の会では、LIXILメンバーズコンテストの受賞作品の事例をご紹介しながら、設計力を強くしていくためのポイントを解説、また次回の「住宅デザイン教室」のご案内もさせていただきます。
どうぞこの機会に、スーパー工務店(設計力のある工務店)への道に踏み出していただければと思います。

目次

1.LIXILメンバーズコンテストに見る“設計力”のある家

LIXILメンバーズコンテストは14,000社以上(2022年3月時点)の工務店やリフォーム店が競う業界最大級のコンテストです。
ここでは、2022年の受賞作品を見ながら、どのような事例が高評価を得たのか見ていきましょう。

(1)LIXILメンバーズコンテスト2022グランプリ事例(新築部門)

作品名:暁の家

会社名:Livearth × 大橋利紀建築設計室様(岐阜県)

作品名:暁の家

会社名:Livearth × 大橋利紀建築設計室様(岐阜県)

受賞作では「長く住み続ける程に深みの増すデザイン」を大切に、家の性能を数値で“見える化”し、光の入り方や風の動きなど、その土地の魅力を最大限に生かした心地良い空間づくりを提案しています。LIXILメンバーズコンテストは歴史があり、参加者数も多くてレベルが高い。そこで評価していただくことは自信になりますし、審査員の方からは建築に愛があるからこその厳しい言葉も言っていただけるので、自分たちでは気づかない視点を得ることができてありがたいです。

敷地条件が温熱環境的に厳しい中、建物のパッシブデザインだけでなく、内部への光の採り入れ方と美しい庭の計画、自然素材の採用が素敵です。素晴らしいスモールエクセレント工務店さまです。

(1)LIXILメンバーズコンテスト2022グランプリ事例(リフォーム部門)

作品名:M様邸古民家再生 伝統と先端が和する家

会社名:前川建設(株)

幸木之家様(兵庫県)

作品名:M様邸古民家再生 伝統と先端が和する家

会社名:前川建設(株)

幸木之家様(兵庫県)

暮らしに寄り添う“幸せな木の家づくり”をモットーに実績を積み重ねてきました。お客様は施工写真を見て要望されることが多いため、事例の発表の場になるコンテストに参加し、賞を取れるように努力しています。今回の受賞作は、歴史や物語のある物件で、“伝統と先端の和”をテーマに最初からグランプリを意識していました。審査員の方の「変えるところと変えないところの思い切りがいい」という評価は、自分たちがこだわった部分を的確に言葉にしていただけて嬉しかったです。

古民家再生という難しい分野で、新しい暮らしを見据えた現代風デザインの提案と断熱・耐震性能向上、昔ながらの材料も活かしたバランスの良い素晴らしい設計ですね。

2.今求められるのは、工務店の“設計力”

2022年度の新設住宅着工戸数は、前年度比0.6%減の86万戸となり、昨年の増加から再び減少しています。持家は前年度比11.8%減の24万戸となり、注文系住宅会社にはより競争力が求められています。
コロナ禍において、住宅購入の情報収集方法も変化し、特にWEB(HP・SNS)で住宅会社を絞り込んだ上で、展示場・見学会と更に絞り込んでいくというスタイルに変わってきています。
注文住宅を求めているユーザーの目に留まるためには、自社のデザインや設計力をしっかりとWEBで発信していかなくてはなりません。

(1)設計力をつけることで自社のポジショニングを確立

注文系ビルダーは、自社の設計力をつけることで他社との差別化を行い、ポジショニングを確立していくことができるでしょう。
また最近のユーザーは新築にこだわる傾向も減り、中古住宅+リノベーションといった選択も増えてきています。リノベーションにおける設計力を強みにしている会社も出てきています。

設計力と建物価格を軸としたマーケティングポジションの図強い設計力と高い建物価格のゾーンはマーケットボリュームは少ないが競合が少ないゾーン
大手ハウスメーカーや、ローコスト住宅会社との違いを明確にし、性能面だけの差別化だけではなく、住まわれるご家族の暮らしを考えた設計提案ができる住宅会社であることを、しっかりとアピールしていきましょう。

(2)住宅価格/延床面積 平均値の推移~新築部門のみ集計

LIXILメンバーズコンテスト応募作品の新築部門の住宅価格と延床面積の平均値を見てみました。
そうすると、坪単価は2019年度と比較し坪11.5万円もアップし、一方で延床面積は2.1坪コンパクトになっていることが分かりました。
資材価格高騰の局面の中で、コンパクト化の工夫を施しながらも、ユーザーには、皆様のデザイン設計と快適性提案の付加価値が認められ、価格にしっかりと反映していると読み取ることができると思います。

2019年〜2022年度の坪単価と延べ床面積の推移グラフ。坪単価においては、11.5万円/坪(+15.3%)アップし、一方で、延床面積は、2.1坪(▲5.2%)コンパクトに。
価格の影響だけでなく、世帯構成の変化により、平屋やコンパクトな設計提案も増えてきていますね。

(3)総工事費/施工面積 平均値の推移~リフォーム部門のみ集計

LIXILメンバーズコンテスト応募作品のリフォーム部門の総工事費と施工面積を見てみました。
施工面積は微増でしたが、総工事費に関しては1棟あたり500万円近くも高まってきており、
付加価値の高い提案ができていると読み取ることができます。
新築・リフォームともに資材価格の高騰が続いている中、コンパクトで快適な住空間を提案できる、設計力のある工務店やリフォーム会社が求められ、そういった会社が受注価格を高めることが出来ているようです。

2019年〜2022年度の総工事費と施工面積の推移グラフ。1棟あたりの総工事費が+491万円と大きく増加(+58%アップ)
リフォーム・リノベーションにおいては、より“快適に住まう”ための設計提案が求められており、さらに電気代の高騰により、性能向上リフォームニーズも求められていますね。

(4)設計力を活かして、自社のブランディングを

設計力をつけていくことで、自社の施工物件・事例をSNS等で紹介。
HP等にも事例を掲載しながら、自社の設計力をアピールしていきます。
また設計スタッフやモデルハウスなどの動画も配信。
お客様の次の行動を促す仕掛けを行っていくことで、来店につなげていきましょう。
お客様の心理状態・行動に合わせた絵策を打ちながら、ブランディングしていくことが重要です。

設計力を強みにされている住宅会社は、多くがSNS(Instagram・Youtube)配信に力を入れています。今のユーザーは、こういったSNSから“素敵な設計をしている住宅会社”を探していくことが多く、HPだけに力を入れていても集客に苦戦しているようです。
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