Good Living 友の会
年次大会2026 特別トークセッション
- AIOによるマルチメディア戦略
- 歩留まり向上に向けた社員教育
- 経営理念の言語化と設計士の前面登用
AIOによるマルチメディア戦略
~方針と社内体制~
冨島 ひかり工務店様は、インスタでは20万人以上のフォロワー、YouTubeでは1万人以上チャンネル登録されています。このマルチメディア戦略をどう意識し、運営されていますか?
清水 先ほど、インスタが集客の上ではすごく大事だというお話をしましたが、高谷さんがおっしゃったように、まさに「契約率を上げる」「いかにファン化されている人を呼ぶか」ということが、すごく大事なんですね。まずは、最初に来ていただくことが大事で。これ、2番目、3番目になると、他社も見られているので、価格競争に巻き込まれたり、あっちはこれがついていて、こっちはこれがついていないとか、そういうもので判断されたりするんです。
でも、最初に来て、僕たちの世界観をお話しして、金額的にもOKなら、もううちだけ見て決めるっていう人が、最近めちゃめちゃ増えてきているんです。それこそ昔は10社ぐらいに資料請求して、その資料を見て5社ぐらいに会って、3社ぐらいに見積もりと図面を描いてもらって、1社に決めるみたいな、そういうスタイルで住宅を選ばれるお客様が多かったんですけど。今はもうSNSでとことん調べて、1回目行って、先ほどの話じゃないですけれど、そこで違和感を覚えなくて、「ここいいやん」と思って、金額的にも合えば、もう他社にも行かれることがないと僕は思っているんですね。今、うちの企画広報には、「最初に来ていただけるような発信の仕方をしてほしい」と。なかなか難しいですが、そういう話をしています。
組織として、企画広報を最も重要な部署として位置づけることが大事だと語る清水さん
また、この業界はもともと営業がお仕事を取ってこないと、設計、コーディネーター、現場監督、他のスタッフには仕事がありません。営業が親鳥で、エサを持ってきて、雛鳥が待っているような状況です。なので、「営業さんが偉い」みたいな、そういう業界だったと思うのですが。それはもう、新聞広告とかチラシを撒けば勝手にお客様が集まって来てくれていた時代の話で、今はこちらから「うちはこういう会社なんですよ」って発信しないと来てもらえないような状況にありますから。
うちのスタイルとして、企画広報が一番偉いというか、企画広報が発信するからあなたたち営業はお仕事があるんだよ、みたいな見せ方をしています。それで、企画広報が発信できるものを、設計、コーディネーター、現場監督、職人さんがつくってくれている。そこでファン化された人を営業さんは接客していって、ひかり工務店の良さを伝え、契約をしていただく。
「あなたたちは一番はじめじゃなくて一番最後なんだよ」という説明をしているので、毎週月曜日に進捗の全体会議があるんですけど、そこで営業は「先週もこれだけの集客をしていただいて、企画さんどうもありがとうございます」というところから、まず始めます。僕らの中では、企画広報というのはすごく大事だと思っているので、SNSも1つ1名体制です。新築に1名、マンションリノベーションに1名、戸建てリノベーションに1名ついているという形。全体で企画広報は9名。そこが一番大事だと思っているので、力を入れて発信していますね。
広報9名で回す
マルチメディア発信
全社員の1割以上を広報に配置。
「営業より企画広報が入り口」という新しい組織づくり
冨島 ありがとうございます。具体的な体制の話をしていただきましたが、高谷さん、理想の工務店さんの体制というのは何かありますか?
高谷 いや、すごいなと思いまして。今、パッと計算したんですけど、社員さん80名で、要はその10分の1が広報にリソースを割かれているわけじゃないですか。つまりこれ、30名の会社さんだったら3人いるし、20名だと2名、広報担当を置いているという構造を、ひかり工務店さんは組織でつくっていらっしゃるんだなと思って。そこへの人材の置き方というのは、いい意味でかなり極端で、すごく面白いなと思いました。
やっぱり広報の仕事って、今後間違いなく増えていくんですよ。「マルチメディア」という考え方があって。AIはもちろん情報の深度を、先ほど申し上げたオリジナルコンテンツ、その会社独自のコンテンツを好むというのもありつつ。そもそも見つけてもらうためには、これはもう運と確率論なんですけど、いろんな出面にひかり工務店さんの情報が出ていないと、AIも見つけに来る確率が減ってきてしまうという話があって。
これを担えるのは、やっぱり広報の方々になってくるんですよね。広報の方が極力前に出て、インスタだけじゃなくYouTube、あるいはTikTok、もっと言うとGoogleマップとか、あるいはポータルサイトとか、いろんなところに自社の情報を発信していけるハブになっていくことが、今後はものすごく重要で。そこに対して会社として決めていって、しっかり人件費を割いていく、人を割いていくというこの経営意思決定が、今のひかり工務店さんを作っているんだなと、すごく思いました。
どのように一番手に
選んでもらうのか?
比較検討される前に、最初の1社目で選ばれ、契約率を高める仕組み
冨島 先ほど清水代表から「最初に来てもらう」というお話がありましたが、マルチメディアを使ってどのように一番手に選んでもらうのか、なにか戦略の立て方はありますか?
高谷 そうですね、マルチメディアという観点とは若干ずれてしまうかも知れないのですが、今後マーケットが変わってくると、消費者がまず最初に問う場所はたぶんAIになってしまうと思うんですよね。これ、消費者がAIを選ぶというより、Googleが今後、AI検索をメインに切り替えちゃうので。今までのように「大阪 工務店」って聞いても、勝手にAIがサジェストしてくるようになっちゃうんですよ。
なので、我々人間がやりたくなくても、そういう行動になってしまう。そのとき一番はじめに聞くのが自動的にAIになってしまいますから、「AIにどれだけ自分たちのことを紹介してもらうかが大事」というロジックになってきて。AIに自分たちのことをどう紹介してもらうかという観点で、さっきの確率論で言うと、いろんなメディアに出しておいて、 AIが探しに来たときに見つけてもらいやすい構造をつくることが、やっぱり重要になってきます。その点においても、いろんなメディアになるべく顔を出せるようにしていくのは、すごく大事かなと思います。
「AIにどれだけ自分たちのことを紹介してもらうかが大事」と解説する高谷さん
あえて癖を出し、
感性の意思決定を促す
大衆受けする綺麗な写真よりも、クラフトマンシップなどの
「癖」を出すことで、AIを通じて熱量の高い顧客とマッチングできる
冨島 石橋社長からは、先ほど「Hidamari village」のお話もありました。OBを巻き込んだファンマーケティングも実践されていますが、マルチメディアとどう連携してやられているのか解説いただけますか?
石橋 我々はSNSとかYouTubeも含めて、まだまだ弱いところにありますので、どうやってそれらに力を持たせるかという段階にあります。面白いなと思ったのが、僕たちは建築が好きで、建築の雑誌とかも好きですから、雑誌風に写真を撮ったりするわけなんですね。色なんかも明るいより、ちょっと薄暗くて陰影が出ているほうがいいよなとか、そういうふうに思うところがやっぱりあります。ところが、そういう写真って一般受けしないんですね(笑)。これが大発見でした。
僕たちはものづくりをやっている会社ですから、届かなかったら意味がない。大げさに言うと、そういうことで考えたときに。これもお客様の声から拾ってくるわけですが、じゃあどういう写真の撮り方で、お客様はどういうところに共感されるんだろうかというところを、いま一度見直して。僕たちからすると「この写真面白くないな」という写真が、なぜか評価が高かったりする。これが、マーケットと僕たちの思考の違いなんだろうなって、まざまざと感じます。決して迎合するという意味ではなくて、やっぱりアジャストすることが大事だと思いますので、我々のポリシーなり思いをしっかりと持ちつつ、マーケットにどう適合していくかを、常に考えながらやっています。
冨島 今、「お客様への共感」という話があったんですけれども、お客様プラスAIに共感されるコンテンツっていうのは、どういったものになりますか?
高谷 そうですね、まさにおっしゃる通りで、お客様が好むこととAIが好むこと、今後は結構、乖離が出る可能性があるなと思っていて。これ、大きく事業戦略が分岐すると思うんですけど。僕、石橋さんがおっしゃられていた、言ったら「癖のある販促」、これが今後は価値が出てくると思っていて。
要は、大衆的なマーケティングをしても、あふれ返ってしまうので。AIから選び取られるかどうかって、なかなか難しいんですが。癖のあるマーケティングで、「なんでこの写真なんだろう」とか、「なんでこんな考え方なの?」みたいな。ラーメンで言えば、見栄えがいいインスタで映えるラーメンじゃなくて、全然美味しそうじゃないんだけど、ここの大将すっげえ癖あって好きなんだ、みたいな(笑)。そういった観点で、ちょっと意図的にずらすことによって、マーケットはちっちゃくなってしまうかも知れないですけど、そういうのを求めるお客さんがいたときには、ほぼ間違いなくそこに来場して契約が決まる。これが契約率の改善につながると僕は思っています。
大衆的に向かっていってしまうと、やっぱり契約率って下がっていっちゃうと思うんですけど。あえて癖を出していくことによって差をつけて、AIに理解してもらって、契約率を上げていくという構造が、今後は起こるんじゃないかなと。石橋さんにも、クセをいっぱい出していただきたいなと思います。
AIに共感されるコンテンツとは?
石橋 そういう意味では、「クラフトマンシップ」っていうのが、僕たちのひとつのテーマなんですね。大工が削っているところであるとか、それはそれですごく伸びるんです。監督のなんか変なこだわりみたいなところとか、やっぱり伸びるんですよね。だから、その市場って、実はそのものづくりの裏側を見たかったり、きれいな写真だけじゃなくて、それがどうやってつくられているのか、そのプロセスだったりも非常に重要だなと。そういうのは、やっぱり伸びていくんですよね。今は、そうしたクラフトマンシップもしっかりと出そうという思いでやっています。
冨島 そのあたりが、ひだまりほーむさんのクセということになるかも知れないですね。
石橋 そうですね、ちょっとクセが強すぎるけどね(笑)。
高谷 クセが強い会社ほど、今後は生き残ると思いますよ。
石橋 ありがとうございます。勇気が出ます!
高谷 そういう会社をAIが見つけてきて、うまくマッチングしてくれるので。これまではクセがあっても、それがWEBマーケティングで届かなかったんですけど、 AIが届けに行ってくれる。なので、クセ強化をお願いします!
冨島 実際にAIにレコメンドされたお客様が来場されている感触というか、そのあたりはどういった状況なのかもお聞きしたいと思うのですが、いかがですか?
清水 そうですね。ちらほら「AIで出てきたので来ました」というお客様が増えています。
石橋 うちも増えてきています。LLM対策(AIに情報を拾われやすくするための最適化)も、一応やってはいるんですね。毎日、裏側でブログを書いたりもしています。
お客様の声を出しているのも、そういう意味で意図的にやっているところがあるのですが、最近は本当に「AIで見た」という人が多くなりました。同業者の仲間からも、「岐阜 木の家 工務店」って打つと、お前のところが出るんだよ!と文句を言われたりして(笑)。
それに、今までもずっと、ブログとかいろいろ散々書いてきているんですね。その蓄積が、実は大きいのではないかなと。どちらかというとSEO的な意味合いでやってきたことなのですが、今はAIが探しに行ったときにわりと拾ってくれているようです。いわば偶発的なところもありますが、そんなこともあって、AI検索での来場がこの3ヶ月ぐらいで本当に増えました、というのが実感です。
AI対策をしたことで来場が増加したと実感している石橋さん
AIのレコメンドで来る顧客の特徴
とは?
「〇〇坪、予算〇〇万、中庭希望…」など、
詳細な条件をAIに相談してくるため、マッチした際の成約率が非常に高い!
冨島 高谷さん、AIに選ばれ、AIにレコメンドされてきたお客様の特徴みたいなところがあれば、解説していただけますか?
高谷 これは我々も、AI対策のお手伝いで工務店さんに来る反響の中身を見せていただく機会が多いのですが、本当に一つ、わかりやすい違いがありまして。お問い合わせフォームとかに、ご要望をめっちゃ書かれるんですよ(笑)。よくよく考えたらそうだなと思うのですが、実際に「大阪 工務店 おすすめ」ってAIに聞く人、たぶんあんまりいなくて。「大阪で何坪ぐらいの土地を買いました。私は夫婦2人、子ども2人、1人は男の子で、もう1人は女の子、何歳ぐらいです。こういう庭が良いので、なんなら中庭もやっちゃいたいと思っているんですよ。予算に関しては大体8千万円ぐらいで、年収はこれぐらいなんですけど、おすすめの工務店はありますか?」って聞くのが、たぶん実際なんですよね。
AI検索では、「大阪 工務店 おすすめ」といった検索の仕方ではなく、もっと具体的に問いかけているはずだと語る高谷さん
清水 なるほど、そうか。
高谷 そうした時、要望を伝えて選ばれたのがひかり工務店さんだったらお客様はもう、そこしかない気がしてくるっていう感覚が、たぶんあるんですよね。なので、問い合わせ欄の文字も多いし、来てからの契約率もやっぱり非常に高いそうです。これはどんどん普及していくことだと思いますから、先ほどの契約率の向上みたいな観点でも、すごく思うところがあります。
冨島 ありがとうございます。AIにレコメンドされる、信頼されるポイントっていうのをちょっとまとめていただいてもよろしいですか?
高谷 一言で言うと、今まで工務店さんがサボってきた、「自社のことをちゃんと発信する」ということ。これが一番大事なことだと思っていて。ちょっと後回しになってきちゃったと思うんですよ、正直。本当にいい家をいっぱいつくっていて、いろんな人材がいて、地域への思いがあって、代表の思いがあり、みたいなことを、「発信してきたか」というと、ちょっと後回しに、今まではされてきたと思うんです。
今後は、そういった観点とか思いみたいなものをネットに読み込ませない限り、いくら思っていようがAIはわかってくれないので。読み込ませて読み込ませてってことが、大事かなと思います。その上で、情報の深度をつくることも大事ですし、確率論でいろんなメディアに出していくことも重要になります。もっと言うと、「ホームページを AIに気に入られるようにつくっておく」みたいな観点もあったり。いろんな改善、対策しなきゃいけないポイントはあるんですけれども、ただやっぱり、一番マインドセットとして持っておかなきゃいけないのは、「そもそも自社のことをWEBに読ませないと勝負にならない」という、この感覚は持っていただけるといいんじゃないかなと思います。
ポータルサイトの
ドメインパワーを借りる
AIに見つけてもらうために、自社サイト単体では勝てない。
「ドメインレーティング」を、大手ポータルサイトの力を借りて補強する重要性
冨島 LIXILでも、住宅事業者様への支援で「いい家ネット」というポータルサイトをリニューアルしております。ホームページの強化、または補強の観点で、高谷さんに少し解説いただきたいと思います。
LIXILで工務店情報を発信しているポータルサイト「いい家ネット」も、よりパワーアップしてリニューアル ※画像クリックで拡大
高谷 一言で言うと、今後ポータルサイトの重要性は増してくると僕は思っていて。それは、ポータルサイトがいいという意味ではなくて、「ポータルサイトが持っているパワーを工務店は分けてもらったほうがいい」という言い方になるんですけれども。これは、実は数字でも出るのです。たとえばLIXILさんが運営されているとか、大手のポータルサイトは、「ドメインレーティング」と呼ばれるサイトの強さ、いわば筋肉質度みたいなものですが、これがめちゃくちゃ高いんですよ。
大手のハウスメーカーさんだと、このドメインレーティングがだいたい70とか60とかあったりして。ポータルサイトは、実はその大手のハウスメーカーさんよりもうちょっとパワーが強かったりするんですね。このパワーがあると、AIはそこに寄っていくんですよ。なので、皆さんのホームページのドメイン、〇〇.jp みたいなやつですね。あそこのパワーが強ければ強いほど、AIは優先的に読みに行くという話です。
これは工務店さんでいうと、どんなにがんばっても50ぐらいがいいところなんですよ。これはもうしょうがないです。今までの歴史だったり、自分たちのサイトがもらっているリンク数とか、あるいは国のホームページからリンクをもらっているかどうか、いろんな要件が重なって、このドメインレーティングって伸びるので。なかなか物理的に解決できるものじゃない、お金で買えないものだったりもするんです。
ただ一つだけ方法があって、その筋肉質の人からリンクをもらうというのが、自分たちも筋肉質になっていく1つの要因なんですよね。ポータルサイトさんとかは、かなり大きなドメインレーティングを持っているので、ひかり工務店さん、ひだまりほーむさんが持っていらっしゃるドメインレーティングが仮に40だとしたら、リンクをもらうことによって45になる可能性が出てくる。AIも、「え? このポータルサイトからリンクをもらっているの?」と、どんどん評価を上げていくみたいなところがあります。その点において LIXILさんが運営されている「いい家ネット」は、費用対効果も含めて、かなり投資先として考えていけるんじゃないかなと僕は思ったりしています。
冨島 「いい家ネット」に登録して活用してもらうことが、そのままAI対策にもなるということですね。ありがとうございます。
歩留まり向上
に向けた社員教育
具体的な施策として、集客後の顧客を逃さない社内体制を解説
冨島 先ほど成約率を上げるという話がありましたけども、そこで工夫している点、また営業マンの教育の観点からも、少しお話をいただければと思います。
清水 そうですね、うちは少し富裕層向けというか。一般の工務店さんよりも、ちょっとお高めのお家を提供しているので。価格競争すると確実に負けるんですね。なので、僕はいつも「モノ売りじゃなくてコト売りをしなさい」と言っています。
たとえば他社さんだと、「床暖房が付いていて、キッチンの食洗機、うちは深型でこの値段なんです」みたいな提案をしたりするわけですが、そうすると他で「いや、太陽光をつけてもうちはこの値段なんです」って言われたら、お客様はもうモノで判断しているので、すぐそっちへ行っちゃうみたいな状況になりますよね。
僕たちはそうじゃなくて、「どんな暮らしがしたいんですか?」というお客様のヒアリングをすごく大事にしています。どういう生活がしたいのか、どういうふうにお子さんを育てたいのか、家に帰ってどんなリラックスする空間が欲しいのか、みたいなものを突き詰めていくんです。まずは営業が、「〇〇さんに合う生活は、こういうスタイルです」というのを、図面もなく、言葉と写真だけで語るんですね。
「物売り」ではなく「暮らし」を売るヒアリングを大切にしていると語る清水さん
まずはそこで共感を生む。「全然ほかと違う営業をされている」みたいな形ですね。こういうことが、どちらかというと富裕層には突き刺さる。富裕層はモノで判断するのではなく、僕たちにどんな満足感、納得感があるのか、納得してお金が出せるかというところを主に重要視するので。そこにどれだけ突き刺すような営業トークができるのかっていうのをすごく重視して、僕たちは営業をしています。
ただ、なかなかこれがですね、個人差がありますし、教育っていう面でもすごく難しい。若ければ若いほど難しいんです。お客様のターゲットが、社長さん、大手の役員さんとか自営業さんとか、そういう方がすごく多いので、20代で営業して、そうしたお客様と面と向かってちゃんとお話できるかというと、なかなか難しいところはあります。そこが今後の僕たちの課題であり、挑戦でもありますね。
今は、どちらかというとベテラン勢がそういうところの接客をして、若いスタッフはマンションリノベーションとか戸建てリノベーションとか、そっちの営業にまわっているというのがうちの実態です。
冨島 ありがとうございます。一方で、ひだまりほーむさんは「Hidamari Gram」というものも使いながら、人間力を上げていくということもやられていますけども。
経営理念の言語化と設計士の前面登用
石橋 今、ご紹介があった「Hidamari Gram」というのは、平たく言うとマニュアルみたいなものなんですけれども。教育という面でお話しすると、やはり言語化をするということがすごく大切になります。特に今の若い子たちにはイメージがなかなか伝わらなくて、言語化をすることで初めて理解するということが、やっぱり多いんですね。
一方で、我々経営層やマネジメント層は、わりと横着して生きてきましたので、言語化をすることが極めて苦手なんですね。だから、残念ながら、こちらが思っていることの……どうでしょうかね、半分どころか2割伝わっていればいいぐらい、みたいな話なわけです。
実はこれ、マーケットも同じことで。我々が思っていることがお客様にどれだけ伝わっているかというと、ほぼ伝わっていない。そういう意味でも、社内では言語化をして、常にそこへ帰れるものを用意しているんです。今はもう何万と本数があって、中には動画だとか画像だとか、そういったものも駆使しながら行っているところです。
経営理念の言語化を大事にしていると語る石橋さん。社員教育・育成の基盤として体系化したマニュアル「Hidamari Gram」では、理念やデザイン基準、業務における価値観などが言語化されている
また契約率を上げる施策として、設計を前面に出すような仕組みにしています。やっぱり設計者が、その家、あるいは我々の思いをいかに言語化してお客様とお話しするかということが大事になってきていまして。今は設計者と営業が、ある意味ニコイチみたいな形で展開しているような形です。
お客様には、これからどんな人生を送っていきたいのかということから、家づくりを考えてほしいという話をするんですけれども。あるいは、どんな子どもに育ってほしいのか、そのためにはどういう住環境がいるのか考えようということを入り口に、よく話をしますけれども。そういうことも、なんていうでしょう、設計をしている人間たちが語ることで、より深みが増していくというか。それまでが技術営業というか。それを今、やっている最中ということになります。
高谷 先ほどまでのお話は、基本的に「いかに質の高いお客様を集めて決まりやすくするか」ということでしたが、今おふたりに話していただいたのは、そこから先、「どうやってお客様に納得してもらうか、共感してもらうか」という部分だったのかなと思います。
最後は「人」が決める以上、やっぱり人間って、論理的じゃないところがどこまでもあって。感性で意思決定をする人たちって、やっぱりいるわけです。それは、全員そうだと思うんですよ。僕も日々、「なんでこのお茶を買ったんだろう」とか。「なんでこの人好きになったんだろう」とかって、皆さんもあると思うんですけど。
全然論理的じゃない意思決定を、やっぱり人間はしていくんだとしたとき。そこにどうやって会社として向き合っていくかとか、育成していくかとか、言語化していくか、みたいなところを、このお二方の社長様はしっかり忘れずに目線を持って、社員育成していこう、形にしていこうとやっていらっしゃる。そこがやっぱり、ひとフェーズ違うのかなと思いました。
引き続き、高谷さんにもマーケティングの観点から解説いただきます
もちろんデジタル化、AI化において合理的に判断していくことが大事な一方で、社員にはその感性のところの磨き上げ、切磋琢磨をしてもらって事業成果を上げていくという、このバランス感覚は非常に重要なんじゃないかなと思います。
冨島 そうですね。「誰々がいるからこの住宅会社で建てた」というような、人柄で選んだとか、最終的にはそう言われるような形がベストかなというふうに感じました。
登壇者プロフィール
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高谷 一起(たかたに いっき)
高谷 一起(たかたに いっき)
「いい家ネット」開発ベンダーであり、住宅業界専門のマーケティング支援を行う株式会社SHO-SAN代表。「再現性」と「即効性」にこだわった集客ノウハウに定評がある。今回の年次大会2026では、AI検索(AIO)時代における工務店の新たな戦い方を提言。
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石橋 常行(いしばし つねゆき)
石橋 常行(いしばし つねゆき)
株式会社鷲見製材の代表取締役社長。岐阜県を拠点に、国産材を活かした「ひだまりほーむ」を展開。 徹底したブランディングと高品質な家づくりで、地域に根ざしたファンづくりに成功している。AI時代においても揺るがない「工務店ブランド」の在り方を語る。
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清水 洋人(しみず ひろと)
清水 洋人(しみず ひろと)
株式会社ひかり工務店の代表取締役。Instagram等のSNSを駆使し、月間約50組の来場を実現するなど、驚異的な集客力を誇る。 デジタルツールとアナログな顧客対応を巧みに融合させた、小規模工務店ならではの「勝てる」集客戦術の実践者。
登壇者の会社情報
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ひだまりほーむ(株式会社鷲見製材)
「岐阜の森を守る」を掲げ、
木のぬくもりを多角的に展開
>ひだまりほーむの会員サイトへ拠点: 岐阜県岐阜市 特徴: 国産材、特に「岐阜の木」にこだわった「これぞ木の家」という住まいづくりを追求。建物と庭を一体で捉え、自然を感じる暮らしを提案しています。 事業: 注文住宅のほか、「無印良品の家」の運営、医療福祉施設、飲食事業など、木を軸に地域に根ざした幅広い事業を展開しています。 -
株式会社ひかり工務店
若い感性とベテランの技術が融合する、
大阪の成長企業
>株式会社ひかり工務店の会員サイトへ拠点: 大阪府豊中市 特徴: 従業員の平均年齢が35.1歳、20〜30代が7割を超える非常にフレッシュな組織。若手が描く自由なアイデアを、40代以上のベテランが支えて形にする体制が強みです。 事業: 新築の注文住宅(約7割)をメインに、戸建て・マンションのリノベーションや、空間に合わせた造作家具の製作までトータルで手がけています。