統計データ・市場動向について

エアコンの“都市伝説”をダイキンが検証「どっちが安い?」

2024年5月1日

ダイキン工業(大阪市)は4月24日、空気にまつわる課題や悩みごと、素朴な疑問について調査する「ダイキン空気のお悩み調査隊」の最新コンテンツとして、エアコンの効果的な節電術を4つのケースで調査した結果を掲載した。

昨年に続いて今夏も猛暑が予想される中、政府による電気料金の負担軽減措置は5月使用分で終了する。さらに大手電力10社は「再生可能エネルギー賦課金」の単価上昇に伴い、5月請求分からの値上げを発表。これにより、平均的な電力使用量の家庭では月に1000円から1500円程度の負担増が見込まれている。

そこで一般的に「節電になる」と言われているエアコンの使い方について、本当に節約になるのかを検証。①風量設定「弱」vs「自動」、②風向設定「ななめ下」vs「水平」、③設定温度を「1℃下げる」vs風量設定を「強」、④室外機にぬれタオル「あり」vs「なし」―の4つのケースについて、実際にかかった電気代を調べている。さらに、睡眠時のエアコンは「切タイマー運転」と「つけっぱなし運転」では、どちらが快適かについても調査した。
(※資料に掲載された電気代は実験に使用した住宅での数字)

調査時の実験環境

調査時の実験環境

風量は「弱」よりも「自動」で節電?

【検証1】エアコン冷房の風量設定は「弱」「自動」でどちらが節電?では、「風量:自動」の方が1カ月換算で990円節約になるとの結果に。風量を「弱」にすると、熱交換器を通過する空気の量が減り、部屋の中を涼しくするのに時間がかかることが原因だと説明している。

風量:弱/自動の検証結果

風量:弱/自動の検証結果

【検証2】エアコン冷房の風向設定は「ななめ下」と「水平」でどちらが節電?では、「風向:水平」の方が1カ月換算で930円の節約に。これも熱交換器を通過する空気の量が減ることや、室外機の中にある圧縮機の運転にかかる負荷が増加することが原因なのだという。

【検証3】設定温度を「1℃下げる」のと風量設定を「強」にするのとでは、どちらが節電?では、「風量:強」の方が消費電力量が約半分に。風量を「強」にすると室内機のファンの音が大きくなることから、電気を多く使っているように思われがちだが、ファンが使う電力はわずかなのだという。それよりも風量を強くした方が、気流が生じることによって体感温度が下がり、涼しく感じられる効果が高いと説明している。

室外機にぬれタオルは効果なし?

【検証4】SNSで話題の室外機にぬれタオルは、「あり」と「なし」でどちらが節電?では、「ぬれタオル:なし」の方が1カ月換算で1020円節約に。近年SNSで「エアコンの室外機の上にぬれタオルをのせると節電になる」という噂が広まっているが、実際に試してみると逆だった。原因は、室外機の上に置いたタオルが乾いて室外機側面に大きく垂れ下がることで、室外機の吸込口や吹出口の空気の流れを妨げるから。タオルをのせるよりも室外機に日陰を作ったり、室外機周辺に打ち水をしたりした方が節電効果が期待できるとしている。

ぬれタオルある/なしの検証結果

ぬれタオルある/なしの検証結果

【検証5】夏の睡眠時のエアコンは「切タイマー運転」と「つけっぱなし運転」どちらが快適?では、暑さ指数(WBGT)の観点から見た場合に、朝まで「つけっぱなし運転」の方が快適だということが分かった。つけっぱなしは設定温度が28℃の場合も、平均して23℃程度に抑えられたが、就寝後3時間に切タイマーをした場合には、明け方に25℃近くにまで気温が上昇している。

こうした結果から同社は、「エアコンを使う際に節電のつもりでやったことが逆効果になる場合がある。使用時間を無理に抑えると、熱中症リスクが高まることもあるため、節電にも配慮したエアコンの適切な使い方を意識してほしい」と呼び掛けている。

第8回/第9回「空気のお悩み調査隊がゆく」検証結果

◇上記の検証内容は、ダイキン工業のコンテンツサイト「ダイキン空気のお悩み調査隊」で詳しく説明しています。