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住宅着工数は24年度に「やや回復」─建設経済研究所など

2023年8月8日

厚建設経済研究所と経済調査会経済調査研究所はこのほど、2022、23年度の「建設経済モデルによる建設投資の見通し」(2023年8月)を公表した。これによると2023年度の建設投資は、新型コロナウイルスの第5類移行を受けて国内景気が持ち直していることから、前年度比2.5%増の71兆7700億円になると予想。2024年度は同1.2%増加して72兆6600億円となる見込み。同レポートは「国民経済計算(四半期別GDP速報)」2次速報を踏まえて予測した。

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建設投資のうち、23年度の民間住宅投資は建設コストの高止まりや住宅ローン金利上昇の影響で、新設住宅着工戸数が同0.9%減の85.3万戸と奮わないことから、同0.1%減の16兆8100億円と予想。24年度は住宅取得マインドがやや回復し、住宅着工戸数が同0.2%増の85.5万戸となることから、民間住宅投資額は同0.8%増の16兆9500億円を見込んだ。

●建設投資額(名目値)の推移

「建設経済モデルによる建設投資の見通し」より抜粋

持家着工戸数は建設コストの高止まりに加え、注文住宅大手の受注が厳しさを増している状況などから、23年度は同2.5%減の24.2万戸になると予想。24年度はやや回復して同0.7%増の24.4万戸となる見込み。

23年度の貸家着工戸数は期待値も含めて同1.0%増の35.1万戸と予測。24年度も微増を見込んで同1.1%増の35.5万戸とした。分譲住宅着工戸数はマンション需要が一服し、23年度は同2.0%減の25.4万戸、24年度は同1.6%の25.0万戸になると予測した。

補修は補助金効果で好調維持

民間非住宅は、23年度が同2.8%増の22兆6900億円、24年度が同1.5%増の23兆400億円と予測。用途別では、倉庫・流通施設、半導体関連産業などの工場で新設需要が好調。事務所は大都市圏の投資目的の案件を中心に増加すると予測した。宿泊施設は東京・関西を中心に、外資系ブランドによる高級ホテルの建設計画が進んでいる。

補修(改装・改修)への民間投資は、23年度は同4.7%増の8兆6300億円、24年度は同3.1%増の8兆9000億円と予測。住宅分野では政府の省エネキャンペーンによる補助金政策が寄与。非住宅分野は設備の更新や省人化への需要が増加する見込み。