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日銀、現状の金融緩和を継続 長期金利は±0.5%を維持

2023年5月1日

日本銀行は4月28日、「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」を公表し、この中で生鮮食品を除く消費者物価について、2023・24年度は前年度比で+1.8%程度、25年度は同+1.6%程度になる見通しを示した。金融政策運営については現状の金融緩和を継続し、「2%の物価安定の目標」を目指すとしている。

次回会合までの長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)は、短期は-0.1%のマイナス金利を適用。長期は10年物国債金利が±0.5%で推移するよう、上限を設けずに長期国債の買い入れを行う方針を示した。過去の金融緩和策を多角的に評価するレビューの実施についても明らかにしている。

わが国の景気については、海外経済の影響を受けつつも持ち直し、企業収益は全体として高水準で推移している。一方で、業況感は横ばいとなっている。雇用・所得環境は、全体として緩やかに改善。個人消費も緩やかに増加している。住宅投資は弱めの動きとなっている。今後の予想物価上昇率はいったん上がった後、横ばいとなる見込み。

経済は緩やかに回復 民間需要も増加

経済の見通しは、2023年度半ば頃にかけて資源高などによる下押し圧力を受けるものの、緩やかに回復するとみている。雇用者所得は賃金上昇により増加する予想。

個人消費は、政府によるガソリン・電気・ガス代の負担緩和策などの下支えを受け、緩やかな増加が続くとした。

企業収益は改善基調をたどる見通し。金融環境は日銀による大規模金融緩和により、民間需要の増加が後押しされると想定。企業の資金繰りも改善傾向となる見込み。

想定される経済のリスク要因は、▽海外の経済・物価情勢▽国際金融資本市場の動向▽ウクライナ情勢による資源・穀物価格の動向▽企業や家計の中長期的な成長期待。物価のリスク要因は、▽企業の価格・賃金設定行動▽為替相場の変動▽国際商品市況の動向▽輸入物価・国内価格への波及─を挙げた。

金融政策運営については、現在消費者物価は2%を上回って推移しているが、今年度半ばにかけて2%を下回る水準までプラス幅を縮小していくと予想。23年度は上振れリスクの方が大きく、2025年度は下振れリスクの方が大きくなると予測した。