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住宅トップランナー基準見直しへ 27年度目標に「強化外皮」

2024年6月11日

国土交通省と経済産業省は6月3日に開いた建築物エネルギー消費性能基準に関する合同会議の中で、「住宅トップランナー基準」と「中規模非住宅建築物の省エネ基準」の見直し案について検討を行った。

「住宅トップランナー基準」については、2030年目標であるZEH基準の省エネ性能確保に向け、段階的に引き上げを行うことが求められているが、現行の目標年度が2024年度となっていることから、2027年度に向けた新たな目標を定める必要がある。

見直し案では、該当する事業者が供給する全ての建売戸建住宅、注文戸建住宅、賃貸アパートの外皮性能を、「建築物省エネ法」の誘導基準となる強化外皮性能に適合することを求める。一次エネルギー消費量基準BEI(※再エネを除く)についても、「建売戸建」は0.80、「注文戸建」は0.75、「賃貸アパート」は0.80とする。

住宅トップランナー基準の見直し基準案(会議資料より引用)

住宅トップランナー基準の見直し基準案(会議資料より引用)

対象となる事業者は、年間供給戸数が「建売戸建住宅」は150戸以上、「注文戸建住宅」は300戸以上、「賃貸アパート」は1000戸以上。2022年度実績報告によると、「外皮基準」で全ての住戸が適合していた事業者は、「建売戸建」が11.9%(10社)、「注文戸建住宅」が5.9%(4社)、「賃貸アパート」が0%だった。

見直し案の外皮基準への適合率(会議資料より引用)

見直し案の外皮基準への適合率(会議資料より引用)

また、戸建住宅の太陽光発電設備(PV)の設置目標については、「エネルギー基本計画」の見直しなどの検討状況などを踏まえて、今後具体的な水準・運用の検討に入る予定。なお、住宅トップランナー事業者における22年度のPV設置実績は、「建売戸建」が8%(8万925戸中6500戸)、「注文戸建」が58.4%(9万9145戸中5万7864戸)、「賃貸アパート」が21.3%(12万5750戸中2万6811戸)だった。

中規模は大規模の基準と同一に

一方、中規模非住宅建築物の省エネ基準(2026年度)の見直し案では、4月に施行された大規模建築物の省エネ基準と同一とし、BEIを「工場など」は0.75、「事務所・学校など」は0.80、「病院・集会所など」は0.85の水準を設定した。

中規模非住宅建築物の見直し案(会議資料より引用)

中規模非住宅建築物の見直し案(会議資料より引用)

見直し案についてはパブリックコメントを経て、住宅トップランナー基準は2025年春頃の公布・施行、中規模非住宅建築物の省エネ基準は今年秋頃の公布、26年春頃の施行を予定している。