法改正・補助金等について

来年施行の一人親方保護義務 保護具使用など細部解釈も

2024年5月9日

労働安全衛生規則の一部を改正する省令が4月30日に公布され、2025年4月1日から施行されるのに合わせ、厚生労働省は「労働安全衛生規則」「ゴンドラ安全規則」「ボイラー及び圧力容器安全規則」「クレーン等安全規則」を改正。事業者に対し労働者だけでなく、労働者以外の一人親方などにも保護措置を講ずるよう求める。危険が発生するおそれがある特定の場所への立入を禁止するほか、車両系荷役運搬機械(運搬車)の乗車席以外の危険な箇所に搭乗させないことなどを定めた。

なお、危険有害な作業を行う際の一人親方、下請業者などに対する保護措置については、先行してこの4月1日から事業者に義務づけられている。

■参考資料(PDF):厚労省リーフレット「事業者・一人親方の皆さまへ」

今回の改正では、安衛法で示された「事業者の講ずべき措置」の対象範囲を労働者以外にも拡大。▽特定の場所・箇所への立入・搭乗の禁止▽事故など発生時の退避と訓練の実施▽労働者以外の人数分も含めた避難用器具の備付け▽特定の場所での火気使用禁止▽悪天候時の作業禁止▽表示による必要事項の周知―などを義務付ける。保護具などの使用については本来、事業者が請負人に命令できるものではないが、作業従事者が適切な保護具を選択できるよう、保護具の種類や性能について情報提供することを求める。

規則内に示される「労働者以外」には、現場監督や資材の搬入・積卸しなどの作業者、危険有害作業を行っている事業者とは契約関係がない事業者と労働者、個人事業者(一人親方)と家族就業者、資材搬入業者、警備員も含まれる。作業場に一切入ることなく、すべてを請負人に請け負わせる注文者の立場の事業者は、新たに課される措置義務の対象外となる。

屋根の踏み抜き防止にも言及

また、省令改正に伴う義務ではないものの、▽車両系荷役運搬機械を用いて作業を行う際に適正な制限速度をあらかじめ定めておくこと▽高圧の充電電路の点検などを行う場合に作業に従事する労働者に感電の危険が生ずるおそれのあるときは絶縁用保護具を使用させること▽スレート、木毛板でふかれた屋根の上で作業を行うときは踏み抜きによる危険を防止すること―なども、事業者が講ずべき措置として挙げている。

今回の改正は、2022年から23年まで開かれた「個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方に関する検討会」に提出された報告書を基に規定した措置で、有害性と危険性への対応に雇用関係や請負関係の差を設ける理由がないことから、作業に従事するすべての者を対象として、事業者に措置義務を課すこととしている。