法改正・補助金等について

一人親方も対象「フリーランス保護法」11月施行 発注側に義務

2024年4月24日

公正取引委員会および厚生労働省はこのほど、一人親方を含む特定受託事業者を対象とした「フリーランス・事業者間取引適正化等法」(フリーランス保護新法)の関係政令の整備を開始した。5月11日まで実施するパブリックコメントを経て5月中に公布、11月1日に施行する予定。取引の適正化や育児介護等に対する配慮、ハラスメント行為に対する適切な措置、独占禁止法・下請法との関連性などについて、具体的な内容をまとめる。

フリーランス保護新法(正式名称:特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)は、企業などの組織に所属しない、一人親方などのフリーランスを保護するための法律。2023年5月に公布された。

一人親方との“口約束”を禁止

同法ではフリーランスの就業環境整備を目的に、①書面などによる取引条件の明示、②報酬支払期日の設定・期日内の支払い、③募集情報の的確な表示、④育児介護と業務の両立に対する配慮、⑤ハラスメント対策に係る体制整備、⑥中途解除の事前予告─などを定めている。また、受注者に責任がないにも関わらず、発注時に決めた報酬額を減額すること、不当にやり直しをさせる行為なども禁じている。

①「書面などによる取引条件の明示」では、委託する業務の内容、報酬の額、支払期日などの取引条件を書面、または電子メール、SNSなどの電磁的方法で明示することを義務付ける。特に一人親方の場合、工期が差し迫っている段階で知人同士の口約束で契約することも多く、日々の作業に追われて、書類作成などの事務作業を行う余裕のない一人親方もあるため、発注者側から書面などを提示することが求められる。

②「報酬支払期日の設定・ 期日内の支払い」では、成果物の受領から数えて60日以内を報酬支払期日として設定し、期日内に報酬を支払うことが義務付けられる。

期日における報酬支払義務

期日における報酬支払義務

⑤「ハラスメント対策に係る体制整備」では、発注事業者側にハラスメント防止のための研修を行うこと、ハラスメントに関する相談担当者を決めること、ハラスメントが発生した場合に迅速に事実関係を把握することなどを求める。

⑥「中途解除の事前予告」では、継続的業務委託を中途解除する場合、あるいは更新しない場合には、原則として30日前までに予告することを定めている。ただし、▽天災などにより業務委託の実施が困難になった▽発注事業者よりも上流の発注者からのプロジェクトが中止になった▽受注者側に契約不履行や不適切な行為があった─などの場合は、事前予告せずに解除することが認められる。

事前予告義務

事前予告義務