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既存建物の省エネ性能表示 窓・給湯器を軸に検討─国交省

2024年2月8日

国土交通省は2月6日に開いた「建築物の販売・賃貸時の省エネ性能表示制度に関する検討会」で、既存建築物における省エネ性能表示について検討を行った。この4月から新築建築物の販売・賃貸時における省エネ性能のラベル表示が努力義務となることに伴って、既存建築物についても表示制度を導入する考え。

この日の検討会では、改修部位の表示における表示対象を窓・給湯器を基本とすること、表示ニーズが高い外壁などの断熱、ドアの断熱、節湯水栓、高断熱浴槽、太陽光発電設備、太陽熱利用などについても表示を可能とすることなどが提案された。今後、建物特性や流通実態を踏まえた表示事項・表示方法について議論を深め、その結果をガイドラインの改訂版として位置づける。

4月に「技術検討WG」設置へ

今後のスケジュールとしては、23年度内(24年3月末まで)に、住宅における表示ルール(省エネ改修部位の表示内容・表示方法)、非住宅におけるエネルギー消費量の実績値ベースの表示ルールおよび表示の普及に向けた方策をまとめる。また、4月以降に技術的な内容を検討するWG(ワーキンググループ)を設置。▽合理的・効率的な実績値データの収集方法▽建物の使用状況などを踏まえた合理的な評価方法▽実績値の表示方法▽表示データの蓄積方法―などについて整理する。

改修部位の表示対象については、窓・給湯器を基本とするほか、ラベルを表示することによる効果が高いものを選定。①省エネ性能の向上(外皮性能、BEI)への寄与度が比較的高いもの、②入居者自ら改修できずロックイン効果(顧客の囲い込み効果)があるもの、③改修の内容がある程度普及しているもの、④対象部位の比較が容易なもの─を念頭に置いて設定を行う。

改修部位とその効果(検討会資料より抜粋)

改修部位とその効果(検討会資料より抜粋)

表示対象とする窓については、省エネ基準の仕様基準に適合するものを対象とし、設置範囲はリビングやダイニングを必須とすることを検討。住宅に複数存在する窓のうち、どの程度改修していれば表示できるのか、などのルールを策定する。

給湯設備の性能については、当面は省エネ基準との整合が取れるものや、標準計算によりこれと同等以上の評価となるもの(ハイブリッド給湯器、エネファーム)を対象とする。さらに将来的な省エネ基準の段階的引上げや、市場に供給される製品の性能なども考慮し、必要に応じて内容を見直す予定。

これについて会合に出席した委員からは、「省エネリフォームが評価アップになるようなレベル設定ができれば、省エネ改修の後押しになる」と、期待の声が寄せられた。その一方で、「専門的な知識・スキルがなくても実施可能な簡便な評価方法が必要」「根拠に乏しく信頼性の低い評価が増えると制度自体の信頼性が損なわれる」「業務が増えるため広告表示などは義務化しなければ積極的には取り組まれないだろう」との意見が聞かれた。