法改正・補助金等について

国交省 建設工事事故DB公開 安全対策への活用を

2024年2月7日

国土交通省は2月2日、建設工事事故データベースを一般公開した。建設業従事者の建設工事事故防止に向けた対策に役立てることを目的としている。現在公開している事故データは、2019年度から2022年度までに地方整備局・都道府県・政令市で発生した建設工事事故のうちの約1600件。Excel形式のファイルとして一覧表にまとめており、ダウンロードすることができる。チェックボックスにチェックを入れることで、特定の項目(例えば、「墜落」「東京都」「防水工事」など)を選んで表示させることも可能。日々のKYシート作成時にも参照できるほか、事故防止システム・アプリのデータとしても活用できる。

データベースの分類項目は、▽工事分野▽工事の種類▽工種▽工法・形式名▽災害分類▽事故分類▽天候▽事故発生年・月・時間▽事故発生場所(都道府県別)▽事故に至る経緯と事故の状況▽事故の要因▽事故発生後の対策。

例えば、建設工事事故で最も多い墜落に関する事例では、天井仕上げボード張りの施工中に可搬式作業台より足を踏み外して転倒した事故について掲載。この事故の要因として、両手・目線が上部にあり、足元への意識が欠如していたことを挙げている。またその対策として、①作業場所に合わせて可搬式作業台を安定させること、②作業箇所の中心に可搬式作業台を配置すること、③見上げ作業時は足元への意識も持つこと、④可搬式作業台から身を乗り出して作業しないこと、⑤無理な体勢での作業を禁止すること─を示している。

他に、雨の日に起きた事故例では、傾斜地に居る作業員に休憩時の飲み物を渡して戻る際に、足を滑らせて転倒した事例を掲載。前日も雨が降っていたが滑らなかったため、確認しなかったことが原因だったとした。その対策・対応として、事故原因や注意点・再発防止策の周知についての認識を作業員全員で共有したことを挙げている。

国交省によると、建設工事事故の件数は近年減少傾向にあるものの、これまでと同様の事故が繰り返し発生しているという。しかし、中小企業など工事件数の少ない企業では事故に遭遇することがまれであり、事故の想定やその予防策を立てることが難しい状況となっている。そこでより多くの過去事例を提供することで、現場の安全性向上につなげたいとしている。