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災害復旧時のがれき処理で工事業者に注意喚起─厚労省

2024年1月12日

厚生労働省は、能登半島地震でがれき処理を行う工事業者などに向けて、作業時の注意事項をまとめたリーフレットを作成。作業時の服装や作業を始めるまでの準備、作業中に注意すべき点などについて説明している。

厚労省が作成したリーフレット

厚労省が作成したリーフレット

リーフレットの内容をもとに、作業時の注意点を以下にまとめた。

(1)作業時の服装

被災した建物などのがれきの処理では、釘などを踏み抜いたり、倒壊・落下してきた物に当たるなどの危険を伴う。そのため肌の見えない長袖の作業着、ヘルメット、安全靴など底の厚い靴、丈夫な手袋を着用する必要がある。がれきの粉じんには石綿が含まれている可能性があるため、防じんマスク、ゴーグルを着用した上で、事前に必ずフィットチェックを行う。高所での作業で作業床を設置できない場合は、フルハーネス型墜落制止用器具などを使用する。

(2)作業を始めるまでの準備

作業を行う前に周辺状況の調査を行い、作業計画を作成。指揮命令系統(作業責任者・監視人の選任など)、人員の配置、作業手順、使用する機械・使用箇所、がれきの運搬・搬出方法などをあらかじめ決めておく。車両系建設機械、クレーンなどを使用する場合は運転者が有資格者かどうかを事前に確認する。

(3)作業中の注意点

①がれき処理を行う場合は、▽安定性の悪いがれきの上など高い所で作業を避ける▽倒れそうな建物には近づかない▽重いものは一人で運ばない▽倒れた柱など長尺のがれきを運ぶ時は周りに人がいないかを確認する▽燃焼中のがれきに近づかない─などに注意。倒壊の危険性のある建物については立入禁止措置を行うようにする。

②重機(ブルドーザー、パワーショベル)を使用する場合は、鉄板の敷設などを行い、重機の転倒を予防。重機の運転は必ず有資格者が行い、作業中は運転者以外の立入を禁止する。ショベルカーなどのバケットの爪に荷を掛けてつり上げるのは原則禁止。フックの付いたクレーン機能付き油圧ショベル(※小型移動式クレーン、玉掛け資格要)など適正な機械を使用する。

③薬品(液体)の容器や、液漏れした機械を見つけた場合には作業責任者に連絡する。工場に保管される古いトランス(変圧器)、コンデンサーなどの中にはPCBが含まれているものがあるため、不用意に触らない。汚水、雨水、海水、河川の流水、腐敗しやすい物がたまっている箇所などは酸素濃度が低かったり、硫化水素濃度が高くなったりする可能性があるため立ち入らない。

④石綿が含まれている可能性のある建材を片付ける場合は、粉じんを吸い込まないようにするため、呼吸用保護具(防じんマスクまたは電動ファン付き呼吸用保護具)を使用。粉じんを飛散させないために、散水などにより湿潤化し、原則割らずに片付ける。石綿のばく露の危険性があるため、作業中は被災者なども含め、関係者以外の者を立ち入らせないようにする。粉じんが舞うような場所で飲食や喫煙は行わない。

マスクの着用について(厚労省リーフレットより抜粋)

マスクの着用について(厚労省リーフレットより抜粋)

⑤トラックなどへがれきを積む際は、積み過ぎに注意。トラックの荷台の上のがれきには乗らないようにする。後退してきたトラックに衝突することがあるため、トラックの動きに気を付ける。