法改正・補助金等について

[安衛則改正]足場設置で新ルール 点検者指名も義務化

2023年6月27日

足場からの墜落防止措置を定めた労働安全衛生規則が改正された。今回の改正では10月1日から、足場点検時の点検者の指名および足場の組立て点検者の記録・保存が義務化。2024年4月1日から一側足場の使用範囲の明確化が求められる。

建設業の労働災害(死亡・死傷災害)は、墜落・転落事故が圧倒的に多く、これまでにも「労働安全衛生法施行令」「労働安全衛生規則」の改正により対策が強化されてきた。しかし死亡災害については依然減少していない。特に狭い現場で使用される一側足場からの墜落・転落災害が多発している。

建設業における労働災害発生状況

建設業における労働災害発生状況

そこで今回の改正では、本足場を使用するための十分な幅がある、幅1メートル以上の箇所で足場を使用する際に、原則として本足場を使用することを義務付けた。例外として、つり足場や障害物があるなどで本足場を使用することが困難な場合、足場の一部が使用許可の得られない公道にかかる場合などに限り、やむを得ず本足場以外の使用も認めるが、可能な限り本足場を使用することを求める。また建地の一部を1本とする場合には、足場の動揺や倒壊を防止するのに十分な強度を有する構造とする必要がある。

事業者や注文者が足場の点検を行う際に、点検者を指名することも要件とした。点検者となれるのは、▽足場組立ての作業主任者かつ能力向上教育を受講している者▽足場の設置の届出に係る「計画作成参画者」に必要な資格を有する者▽「仮設安全監理者資格取得講習」を受けた者▽建設業労働災害防止協会が行う「施工管理者等のための足場点検実務研修」を受けた者―など。点検の際には同省が配布する「足場などの種類別点検チェックリスト」の活用を推奨している。

指名の方法は現場の事情に応じて、「書面で伝達」「朝礼などで口頭伝達」「メール・電話で伝達」「あらかじめ点検者の指名順を決めてその順番をメールなどで伝達」などの、点検者が自らが点検者であるという認識を持ち、責任を持って点検できる方法で行う。また足場の組立て、一部解体、変更後の点検について、点検者の氏名を記録・保存することも定めた。