法改正・補助金等について

空き家対策の総合的な強化へ 「改正空家対策特措法」が可決

2023年6月8日

空き家などの活用拡大などに向けた「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案」(空家等対策特別措置法案)が6月6日、参議院本会議で可決、成立した。これにより周囲に悪影響を及ぼす特定空家の除却の促進、さらには周囲に悪影響を及ぼす「前の段階」からの空き家の有効活用や適切な管理、といった空き家対策の総合的な強化を図る。

具体的には、同法施行後の5年間で、①空家活用促進区域の指定数:100区域、②空家管理活用支援法人の指定数:120法人、③除却などがされる管理不全空家・特定空家数:15万物件―を目指す。

「空家等対策特別措置法」では、空き家などの所有者の責務を強化。現行の適切な管理に加えて、国・自治体の施策に協力する努力義務を定めた。

周囲に著しい悪影響を及ぼす「特定空家」になる可能性がある空家については、「管理不全空家」として市区町村長が指導・勧告を行う。勧告を受けた「管理不全空家」の敷地は、現行で6分の1などに減額されている固定資産税の住宅用地特例が解除される。これにより所有者による改善もしくは除却などを促す。

地方再生に向けた新たな取り組みも

また空き家の活用拡大に向けて、市町村が「空家等活用促進区域」を設定することを可能にする。中心市街地、地域の再生拠点、観光振興を図る区域などを、市町村が同区域として定めた場合に、区域内の空き家などの所有者に対して、指針に合った活用(接道規制・用途規制の合理化、用途変更、建替えなど)を要請することができるようになる。

所有者不明の空き家については、電力会社などに情報提供を要請するなどして、所有者の把握に努める。把握できない場合は、市区町村長に選任請求を認め、所有者に代わって財産を管理・処分する権利を与える。さらに緊急時の代執行制度を創設し、所有者不明時の代執行費用を確定判決なしで徴収できるようにする。所有者などの義務者が費用の納付に応じられない場合は財産を差し押さえ、公売などにより換価する。

これらはマンパワー不足に悩む市町村にとっては大きな負担となるが、負担軽減を図るため、地域の事情に詳しいNPO法人、社団法人などの民間主体を空家管理活用支援法人に指定できるようになる。同法人は、▽空家の所有者・活用希望者に対する情報提供▽空家の管理、所有者の探索などの業務▽市区町村に対する空家対策計画の作成▽財産管理制度の利用の提案─などを担う。