法改正・補助金等について

脱炭素型地域づくり目指し、新たな支援へ──環境省

2022年1月13日

環境省は2022年度予算案で、脱炭素型の地域づくりとライフスタイル転換に予算配分を集中し、重点的に取り組む考えだ。複数年度にわたる継続的・包括的な支援スキームとして、自治体に対する新たな交付金制度や、企業等に対する財政投融資を活用した新たな出資制度を創設。さらに、脱炭素先行地域づくりと重点対策の全国実施を推進する。

■「脱炭素先行地域」を支援

新規事業の「地域脱炭素移行・再エネ推進交付金」は、脱炭素先行地域に選定されているなど、意欲的な地方自治体等に対し、複数年度にわたり継続的・包括的に支援するもの。実施期間は2022~2030年度。
再エネ設備の導入に加え、再エネ利用最大化のための基盤インフラ設備(蓄電池、自営線等)や省CO2等設備の導入、その効果を高めるために実施するソフト事業が支援対象。自家消費型の太陽光発電や住宅の省エネ性能の向上などの重点対策の複合実施等も支援する。

■自治体の見える化等を推進

「ゼロカーボンシティ実現に向けた地域の気候変動対策基盤整備事業」では、地方自治体の実行計画策定・実施等支援システムの整備や自治体排出量カルテ等の提供で、地方自治体の気候変動対策や温室効果ガス排出量等の現状把握(見える化)を支援する。
さらに、ゼロカーボンシティ実現のために必要な、地域での徹底した省エネと再エネの最大限の導入を促進するため、地域経済循環分析やEADAS(環境アセスメントデータベース)等を、地域の合意形成ツールとして整備する。実施期間は2021~2025年度。

■防災と脱炭素の両立を促進

「地域レジリエンス・脱炭素化を同時実現する公共施設への自立・分散型エネルギー設備等導入推進事業」は、災害時に避難施設等になる公共施設への再生可能エネルギー設備等の導入を支援し、災害時にもエネルギー供給等の機能発揮を可能とする。
防災・減災に資する再生可能エネルギー設備や未利用エネルギー活用設備、コジェネレーションシステムと附帯設備・省CO2型設備(高機能換気設備、省エネ型浄化槽含む)等を導入する費用の一部を補助する。費用対効果の高い案件を採択することで再エネ設備等の費用低減を促進する。
再生可能エネルギー設備等の導入に係る調査・計画策定を行う事業の費用の一部も補助する。実施期間は2021~2025年度。

■ローカルSDGsを目指す

「脱炭素イノベーションによる地域循環共生圏構築事業」(一部 経済産業省・国土交通省連携事業)では、2050年カーボンニュートラルの先導的モデルを創出し、ローカルSDGsの実現を目指す。
地域の再エネ自給率向上やレジリエンス強化を図る「自立・分散型地域エネルギーシステム」の構築を支援するほか、温泉熱等利活用による経済好循環・地域活性化を促進、地域の脱炭素交通モデル構築等も支援する。実施期間は2020~2024年度。

■福島の脱炭素×復興を進める

「脱炭素×復興まちづくり推進事業」では、福島での「脱炭素社会」の実現と福島の「復興まちづくり」の両方の着実な実現を支援する。CO2削減効果がある再生可能エネや廃棄物の適正処理に関する民間企業の先端的な技術等を用いて、福島県浜通り地域で新たな産業を社会実装することを目指し、その事業の実現可能性調査(FS:フィージビリティー・スタディー)を実施する。
また、市町村が2040年または2050年を見据えた再生可能エネルギーの利用の促進に関する目標と具体的取り組みを定めた構想等の策定・策定予定を要件に、「脱炭素×復興まちづくり」の実現に向けた計画策定と、計画に位置づけられた自立・分散型エネルギーシステムの導入を支援する。実施期間は2021~2025年度。