生活者動向について

要介護者の自宅事故 居間での“つまずき”約半数が経験

2024年4月23日

消費者庁がこのほど公表した「高齢者の事故防止等に関するアンケート調査報告書」によると、要介護者が日常生活でけがをした・しそうになった経験について「つまずく・転ぶ・よろめく」との回答が最多に。次いで「ぶつかる・当たる・接触する」との回答が多かった。中でも居間で「つまずく・転ぶ」を経験した・しそうになった人は約半数を占めている。

同調査は、過去2年間に75歳以上かつ要介護認定(1~3)を受けている人と同居していた1000人を対象に実施したもので、調査期間は2023年10月31日から11月14日。要介護者の年齢は「90~94歳」が327人、「85~89歳」が316人、「80~84歳」が197人など。介護度は「要介護1」35.6%、「要介護2」37.0%、「要介護3」27.4%。

調査結果によると、「つまずく、転ぶ」と答えた人が多かった場所は、自宅では「居間」(46.2%)、「寝室」(42.3%)、「廊下」(40.8%)、「玄関」(39.7%)、「風呂場」(35.4%)など。経験した状況は、「段差につまずく」(67.1%)、「立ち上がった時」(46.8%)、「家具にぶつかった時」(19.7%)、「畳ですべった時」(19.4%)、「配線のコード類にひっかかった時」(16.3%)、などだった。

居間でけがをした・しそうになった経験(報告書より抜粋)

居間でけがをした・しそうになった経験(報告書より抜粋)

具体的な事例では、「段差につまずく」では▽ベッドから起き上がってトイレに行こうとした時にわずかな段差につまずいた▽寝室から廊下に出るときに、ドアのちょっとした段差につまずいた▽駐車場の車止めに足を取られた─などがあった。

けがの内容(※全体)は、「打撲」(43.9%)、「すり傷」(32.1%)、「骨折」(30.7%)が多く、「けがはない(ヒヤリ・ハット)」との回答も29.5%あった。

けがの内容・結果(報告書より抜粋)

けがの内容・結果(報告書より抜粋)

転倒しても重症化しない対策を

これらの結果について同庁は、「2022年度に実施した『住環境における高齢者の安全等に関する調査』でも、自宅の設備の問題点、改善したい点として見られた内容だ。活発に動くというよりも、ごく日常的な動きの中で事故経験につながっている」と分析。「転倒が起こる可能性があることは大前提だが、段差対策や手すりなどの転倒しないようにする対策だけでなく、転倒しても重症化しにくいような対策、転倒した後にすぐに対処できるようにする対策を検討すべきだ」と指摘した。

■関連資料
消費者庁「住環境における高齢者の安全等に関する調査」報告書(PDF)