生活者動向について

在宅時間増えるも約6割が「光熱費抑えられた」─SII調査

2022年2月3日

環境共創イニシアチブ(SII)は、1月21日に公表した「2020年度次世代省エネ建材支援事業調査報告書」の中で、断熱改修後の住まい方や満足度などの事業者アンケートの結果も公開。SIIではアンケートの分析結果を「断熱改修の検討に役立てて欲しい」としている。

■約7割が計画当初から断熱改修を予定

事業者アンケート(調査期間:断熱改修工事完了~2021年2月)の結果を見ると、リフォーム工事を実施した理由で最も多いのが「室内の暑さ/寒さ対策」で、全体の82.5%。次いで「築年数に応じた老朽化のメンテナンスのため」が60.6%。全体の69.8%は、計画当初から断熱改修工事を実施する予定で、30.2%が検討を進める中で断熱改修工事の実施を決めたとしている。また、リフォーム工事全体の規模が小さいほど断熱改修工事にかかる費用の割合が大きい。

断熱改修工事のきっかけは、「自ら調べた」が47.3%、「リフォーム業者(工務店)に薦められた」が44.8%。断熱改修の目的は、「リビングなど主な居室の暑さ/寒さといった環境を改善するため」が最も多く91.3%。「カビや結露の発生などの、宅内環境改善」は53.0%、「光熱費(電気代、ガス代など)削減」は52.0%。

同時に実施した工事は、「内装のリニューアル(間取り変更、仕上げ工事など)」が最も多く80.2%。次いで、「水回り設備のリニューアル」66.9%だった。工事期間中の在宅状況は、71.3%が自宅で生活している。

 
断熱改修と同時実施の工事

改修後の暖房設定温度の変化を見ると、主たる居室の設定温度を、改修前から1℃以上下げて運用しているのは全体の77.1%(下グラフ)。設定温度は平均で2.3℃低下。「暖房は使っていない」との回答は192人中38人。

その他居室について、設定温度を1℃以上下げて運用しているのは74.3%。設定温度は平均で2.2℃低下。「暖房は使っていない」と回答は140人中38人。

 
主たる居室(ダイニング・リビング)の断熱改修工事前後の暖房設定温度の変化

主たる居室(ダイニング・リビング)の断熱改修工事前後の暖房設定温度の変化

断熱改修で、光熱費が「安くなった」との回答が17.0%、「やや安くなった」が53.7%で、全体の70.7%を占めた。工事について「満足」60.7%、「やや満足」31.8%。「暖かく快適に過ごせるようになった」との回答は86.8%、「遮音性が上がり、外の音が気にならなくなった」が54.9%だった。不満を感じる点としては、「結露が発生する」「二重窓の開閉が大変」などが挙がった。

 
断熱改修工事後の状況

■在宅増えたが約6割光熱費抑えられた

戸建住宅と集合住宅を比較すると、断熱改修の目的は、戸建住宅は「トイレやお風呂など水回りの寒さ対策のため」の割合が高く、集合住宅は「カビや結露の発生などの、宅内環境を改善するため」の割合が高い。光熱費は両者とも「安くなった」「やや安くなった」との回答が約70%を占めた。

「コロナ禍で在宅時間が増えた」と回答した人に断熱リフォームのメリットを聞いたところ、戸建住宅では64.5%が、集合住宅では52.2%が「暖房の使用頻度は増えたが、思っていたより光熱費(電気代、ガス代など)が抑えられた」と答えた。

 
断熱リフォームをして良かったと思うこと:戸建住宅

断熱リフォームをして良かったと思うこと:戸建住宅

築年数別の分析では、断熱改修工事と同時に「耐震工事を実施した」割合は、築年数40年以上45年未満が最も多く38.2%。45年以上は29.5%、35年以上40年未満は14.6%だった。

「暖房の使用頻度が減り、光熱費が安くなった」割合は築年数45年以上では44.7%と高い。一方で45年未満は30%台に止まる。ただし、築年数に関わらず、約9割が断熱改修を「満足」「やや満足」と回答。また、「非居室」を改修した37.0%は「各部屋の寒暖差が解消されヒートショックの心配が減った」と回答している。